静岡県内ニュース(文化・芸術)

地蔵アートで日伊文化交流 来年4月フィレンツェ 県内の芸術家10人

2007/05/28
イタリア・フィレンツェでの「地蔵讃歌展」に出品する石彫の土屋誠一さん(左)と花芸の桜井千鶴子さん=島田市の「しずぎんギャラリー四季」

「民間信仰に類似点」

 染色、版画、彫刻など県内の芸術家10人が「お地蔵様」をテーマにしたアート展「地蔵讃歌」が来年4月、イタリアの芸術の都フィレンツェで開かれることになった。日本のお地蔵様と、現地の「タベルナコロ」の民間信仰の類似点に着目したユニークな企画で、日伊文化交流協会(フィレンツェ・マニフィコ文化クラブ)が主催する。
 フィレンツェで唯一、日本の美術品を所蔵する「スティーベルト美術館」が会場。染色の伊藤武文さん、版画の故海野光弘さん、水墨画の佐々木鉄心さん、木彫の鈴木誠心さん、水彩画の曽宮夕見さん、石彫の土屋誠一さん、書の外山博彰さん、尺八の縄巻修巳さん、漆工芸の一言良一郎さん、花芸の桜井千鶴子さんが出品、出演する。
 10人の芸術家は、専門分野で地蔵をテーマにした作品展示や、パフォーマンス披露を行う。縄巻さんの尺八に合わせ、佐々木さんが水墨画を仕上げるなど、日本文化を理解してもらう催しも検討している。
 「タベルナコロ」は聖母マリアをモデルにした聖母子像。コンクリートに描かれたり彫刻になったタベルナコロに、人々は十字を切って祈りを捧げる。「平安な生活を願う人が手を合わせるお地蔵様と似ている」と現地に住む本県出身の女性が気付いたのが、アート展開催のきっかけになった。
 石彫の土屋さんは30日まで、師と仰ぐ村田善彦さんと合同の作品展を島田市のしずぎんギャラリー四季で開いている。イタリアで展示する作品「祈」も出品した。アート展の日本側のまとめ役の桜井さんは「感謝や祈りの気持ちは国が変わっても同じだと思う。地蔵展が日本とイタリアの文化交流促進につながれば」と声を弾ませた。

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2007・5・28(月)  静岡新聞夕刊より